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スピーカーやアンプの「定格インピーダンス」とその値が意味するものとは?

アンプやスピーカーのカタログやスペック表には必ず「定格インピーダンス」として「4Ω」や「8Ω」などの数値が記載されていますが、この数字は何の指標として使われているのか、ご存じでしょうか?

結論を先に言えば、この値はスピーカーをアンプに接続した時に「アンプを壊さないための数値」と思っておけばよいでしょう。
簡単に表すと、次のような関係になっていれば問題ありません。

「スピーカーの定格インピーダンス」≧「アンプの定格インピーダンス

例:
「スピーカー 8Ω、アンプ 4Ω」・・・⭕️
「スピーカー 6Ω、アンプ 8Ω」・・・❌

どういうことなのか、「スピーカーの定格インピーダンス」と「アンプの定格インピーダンス」の内訳を見てみましょう。

スピーカーの定格インピーダンス

インピーダンス」は音楽信号のように波のある電流「交流」においての「負荷 (直流でいう抵抗)」を表すことは、ご存知の方も多いと思います。スピーカーの端子付近に「8Ω」「8 ohm」などと記載されているのが、スピーカーの「定格インピーダンス」です。
単純に見れば、数値が大きいほど負荷が大きく、より大きな電圧を必要としますが、実際のスピーカーの「インピーダンス」は一定ではなく、周波数によって大きく変化します。

一般的なダイナミック型スピーカーのインピーダンスは、次のように再生可能な最も低い周波数(最低共振周波数)で高くなり、そこから一旦ぐっと下がった後、高音域に向けて徐々に上がっていくようなグラフを描く特性になっています。(スピーカー1基の場合)

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「定格インピーダンス」はどこの値を示しているのかというと、上の図で示すように、現在は JIS 規格 (JIS C 5532 音響用スピーカ) にて、「スピーカーのインピーダンスが最初に高くなる周波数(最低共振周波数)以降で、一番インピーダンスが低くなる周波数」を基準に、メーカーが測定値をもとにそれに近い値を「4Ω, 6Ω(6.3Ω), 8Ω, ...」などの中から「定格値」として指定することになっています。
尚、実測値は必ずしもこの定格値ぴったりとは限らないので、「測定値が定格値の80%を下回らないこと」と定められています。

アンプの定格インピーダンス

アンプのスペックにも「定格インピーダンス」が書かれていますが、これはアンプがその性能を発揮しつつ過電流でアンプ回路が焼き切れたり故障したりしない、接続する負荷(=スピーカー)のインピーダンス値を表しています。

現在の一般的なアンプでは定格インピーダンスが「4Ω」のものが多く、これは定格インピーダンスが「4Ω」のスピーカーまでは接続してOKという意味で、「6Ω」や「8Ω」など、定格インピーダンスが「4Ω」以上のスピーカーであれば、アンプの設計上は過電流で故障したり保護回路が働いたりすることはないという数値です。

スピーカーの定格インピーダンスは、アンプを壊さないための数値

中学校の理科で「E(電圧)=R(抵抗)・I(電流)」という式を習ったと思いますが、これを「I(電流)=E(電圧)÷R(抵抗)」の形に変形すると、電圧(E)が一定の条件下では、分母になる「R(抵抗=負荷)」が小さくなればなるほど、流れる電流(I)が大きくなることがわかると思います。

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オーディオ用アンプは基本的に音声信号を電圧の形でスピーカーに伝えます。
そのため、例えば定格インピーダンスが「8Ω」とされているアンプに、

という場合には、アンプの定格インピーダンスをスピーカーの負荷(インピーダンス)が下回り、アンプ回路に想定以上の電流が流れてしまい、最悪の場合アンプ内の回路が焼き切れたり故障してしまう可能性があります。(通常はそうした大事には至らないよう、保護回路やヒューズが入っていますが…)

これを踏まえると、冒頭に挙げた例

「スピーカー 8Ω、アンプ 4Ω」・・・⭕️
「スピーカー 6Ω、アンプ 8Ω」・・・❌

の意味するところが、より納得いただけるのではないでしょうか。

「スピーカーの定格インピーダンス」≧「アンプの定格インピーダンス

という原則さえ覚えておけば、ひとまず安心です。

ちなみに、Soundfort の人気商品でもある小型デジタルアンプ「AS-100+」は、対応インピーダンスが「4Ω〜8Ω」ですので、定格インピーダンスが「4Ω〜8Ω」のスピーカーの接続に対応しています。もちろん上記の通り「8Ω」以上の「16Ω」のスピーカーを接続しても全く問題ありません。

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