早わかり「PCM」と「DSD」の違い
以前「DSD」にまつわる用語について解説しましたが、今回は、そもそも「DSD」とは何か?どんなデータなのか?をざっくり簡単に紹介したいと思います。
参考:以前の記事
soundfort.hatenablog.com soundfort.hatenablog.com
デジタル音楽の基本となる「PCM」
音楽をデジタルで表す方法として、現在最も普及しているのは「PCM(Pulse Code Modulation:パルス符号化変調)」という方式です。 CD(コンパクト・ディスク)から、MP3やAACなどの圧縮音声、さらにストリーミングサービス、地デジ放送の音声も基本はPCM方式に則っています。
「PCM」では、音声を時間軸と出力レベルに格子を当てはめるイメージで、音の波に格子を当てはめ一番近い格子の目を数値として記録していきます。この時、時間を分割する細かさを「Hz」、出力レベルを分割する細かさを「bit」で表し、CD品質の音声では「44.1kHz/16bit」、すなわち1秒を44,100に分割し、出力レベルを65,536段階(16bit=2の16乗)に分割しています。
ちなみに、この分割する細かさをさらに高めたのが「ハイレゾ」と呼ばれ、より元の音の波を忠実にきめ細かく表現でき、一段とリアリティの高い音を記録・再生することが出来ます。
全く発想の異なる「DSD」
では、DSDではどのように音声をデジタル化しているのでしょうか?
「DSD(Direct Stream Digital)」データは基本的に1bit(0と1のみ)で音声を表現し記録しています。ここでは難しい話は抜きにしてざっくりと解説すると、DSDでは1秒間をPCMよりも遥かに細い時間(64倍以上)に分割し、「0」と「1」のビットを「平均的に」元の音の波の形になるように並べ、ビットの「密度」で音を表現します。この方式は、「PCM」に対して、「PDM(Pulse Density Modulation:パルス密度変調)」とも呼ばれます。
簡単に表すと、次の図のようになります。
なんとなく雰囲気は感じていただけたでしょうか?
DSDの図に「SACD品質」と書いてあるのは、DSD64(DSD 2.8MHz)がもともと「Super Audio CD(SACD)」の記録方式として採用されていたためで、DSDの代表選手として挙げています。
尚、DSD64、DSD128、DSD 2.8MHz、DSD 5.6MHz などの違いについては、過去の記事を参照頂ければ幸いです。
「PCM」と「DSD」どちらが「よい」のか?
「PCM」と「DSD」を比較して、どちらが優れているか?は一概には言うことは出来ません。というのも、音質だけでなく、利用や加工などデータの取り扱いを含めるとどちらも一長一短があるためです。こちらについては、また別の機会に紹介したいと思います。