Soundfortのいい音紀行♪

日本人のクラフトマンシップが息づくPCオーディオブランド「Soundfort」の公式ブログ

Nutube ヘッドフォンアンプ、その後と展望

以前、開発状況をお伝えしました、KORG社の新型の真空管「Nutube(ニューチューブ)」を使った「Nutube ヘッドフォンアンプ」。
その後も開発検討およびテストを繰り替えてしておりますが、正直な所、なかなか苦戦しております(汗

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2017年夏のフジヤエービック様主催の「ポタ研」にて開発中のテスト機を参考出展し、様々なお客様にご試聴いただきましたが、そこで頂いた貴重なご意見などをフィードバックしつつ、「Soundfort としての音質」を追求しておりますが、これがなかなか思ったようにいかないもので、あちらが立てばこちらが立たずといった感じで、理想とする音に未だたどり着けていないのが現状でございます。

※「ポタ研」の際に開発担当より「クリスマスの頃には」とお話させていただいておりましたが、「ゴメンナサイ!」とのことです。

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参考出展機

「Nutubeらしさ」の難しさ

具体的には、「Nutube」を使用することで従来型の真空管に近い柔らかさは若干出せるものの、真空管独特の音の「ツヤ」をなかなか表現できず、いわゆる「真空管らしさ」が出し切れないという、製品カテゴリーとしての難しさにも直面しております。

もともと楽器用に開発されたという「Nutube」だけあって、音を歪ませるのは得意で、KORG社よりギターアンプとしてはすでに製品が発売されていますが、オーディオ機器としては、自作ポータブルヘッドフォンアンプの分野や、極少ロット生産のガレージメーカー、ごく一部のポータブルオーディオ機器メーカーから発売されているというのが現状です。

「Nutubeらしい音」というのが、果たしてユーザー様に認知していただけるか、そしてその音を従来の真空管のように好んで頂けるか、製品開発とマーケティングの両面からの難題に苦戦している状況ではあります…

「Nutube」のノウハウをさらに蓄積すべく…

現時点では、Nutube ヘッドフォンアンプ開発テスト機のベースとしている、弊社のフルディスクリートのヘッドフォンアンプ「HS-100」の音を「聴き心地のよさ」という点で超えられていないのが、大きな足かせです。
これを乗り越えるには、まだまだ Nutube に関するノウハウの蓄積が必要と痛感しております。

そもそもなぜ「Nutube」に期待を持っているかというのは、従来型真空管の生産がほぼ中国を中心とした非常に限られたものになり、安定した品質での供給が今後ますます難しくなるという点を見越してのことで、「Nutube」の場合は国内生産で圧倒的に安定した品質での供給が期待できるという点にあります。

今後も引続き開発・実験を繰り返していきますが、納得できる製品として市場に送り出せるまでには、もう少しお時間を頂くことになりそうです。(担当S)

早わかり「PCM」と「DSD」の違い

以前「DSD」にまつわる用語について解説しましたが、今回は、そもそも「DSD」とは何か?どんなデータなのか?をざっくり簡単に紹介したいと思います。

参考:以前の記事

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デジタル音楽の基本となる「PCM」

音楽をデジタルで表す方法として、現在最も普及しているのは「PCM(Pulse Code Modulation:パルス符号化変調)」という方式です。 CD(コンパクト・ディスク)から、MP3やAACなどの圧縮音声、さらにストリーミングサービス、地デジ放送の音声も基本はPCM方式に則っています。

「PCM」では、音声を時間軸と出力レベルに格子を当てはめるイメージで、音の波に格子を当てはめ一番近い格子の目を数値として記録していきます。この時、時間を分割する細かさを「Hz」、出力レベルを分割する細かさを「bit」で表し、CD品質の音声では「44.1kHz/16bit」、すなわち1秒を44,100に分割し、出力レベルを65,536段階(16bit=2の16乗)に分割しています。

ちなみに、この分割する細かさをさらに高めたのが「ハイレゾ」と呼ばれ、より元の音の波を忠実にきめ細かく表現でき、一段とリアリティの高い音を記録・再生することが出来ます。

全く発想の異なる「DSD

では、DSDではどのように音声をデジタル化しているのでしょうか?

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Nutube ヘッドフォンアンプ、只今開発中!

今回は、Nutube ヘッドフォンアンプの開発、その後の様子を現場からお届けします。

一筋縄ではいかないNutube

Nutubeを使った他社様やアマチュアの方の情報に焦りながら、Nutube 6P1を使ったヘッドフォンアンプの開発を進めています。

このNutubeは低い電圧で動作するのでトランジスタなどとの組み合わせも楽かなと思ってデータシートを見ると、グリッドに既定の電流を流さなければならず、そうなると相対的に入力インピーダンスが高く取れないし、ゲインもそれほど期待できない感じ

それでは前段にゲインを少し持たせた増幅回路をと考え、差動増幅回路を持ってくることに。出力はと見ると、これもインピーダンスが高い、、、、、、面倒な6P1君である。
何らかのバッファを入れないと電力増幅回路をドライブできないし、なんて考えながら回路設計を進める。

一応、データシートには特性のグラフも掲載されているので、評価ボードで特性を確認する。測定環境が違うのか、差異がかなりある、、、、、取りあえず回路設計に必要なデータを再測定する。そのデータを元に回路の構成と定数を計算し決めていく、、、、、、、もちろんオールディスクリートで構成!!

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